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短編+リク(00)
ぬこネタ【アレ×猫ニル】
【知り合いから猫を預かりました】


(というか、強制的に押し付けられた……)
アレルヤは数分前の怒濤の出来事を思い出していた。


『訳有りで前の飼い主が飼えなくなったからさ』
『貰い手が見つかるまで頼むよ』
『取扱説明書これだから』
『名前はニールね』


そう言って知り合いが置いて行ったのは、一匹の猫。
というか、見た目は耳と尻尾の生えた子供だ。
一部の富裕層の愛玩用に改良されたペットで、庶民からすれば謎が多い。
アレルヤは辞書並の厚さの取説を見た。

(しかも……高いんだよね)

超が付くほど一般庶民の自分には、到底飼える代物ではない。

ちなみに当の本人(?)は知り合いに懐いていたらしく、置いて行かれたとたんに部屋の角で丸くなっている。
確か喋れるはずだが、一度も口を開いていない。
(勘弁してよ……)
アレルヤは急に押し付けられた猫(というか子供)に溜息を吐く。
『泣かれるよりはマシかも』と無理矢理自分を納得させて、アレルヤは小さい一口コンロの前に立った。
調度昼ご飯を作ろうとしていたときの来訪だったのだ。

そこで、はたと気付く。
(うーん……ニールだっけ?何食べるかなあ)

チラリと見るとソファーの影から未だに黒い尻尾が見えるだけだ。
金持ちに飼われていたのだから、きっと良いものを食べていたのだろう。
(あいにく、うちは貧乏だしなあ)
冷蔵庫を見ても対したものは入っていない。
(子供が好きそうなもの……オムライス?)
幸い玉子と鶏肉、ご飯はあった。
しかし、野菜はまったくない。
(あの様子だと買い物なんて行けないし)
アレルヤは困った様に眉間に手を当てた。




***



「ニール?ご飯だよ」

なけなしの食材で何とか食事を作り、アレルヤはニールに初めて声を掛ける。
するとニールはビクビクと怯えた表情で更に丸くなった。
(あー…人見知りするのか)
「じゃあ、お腹空いたらおいで」
「…………」
ふわふわの頭を撫でようと思ったけれど、驚かせたら可哀相だ。
アレルヤは立ち上がるとニールが見えるところにテーブルを移動させて食事を並べた。
見栄えの悪いオムライスとインスタントのコーンスープ。
自分にしては頑張ったほうだが、食欲がわかない。
(夜は出前とか取ろうかな……でも高いしなあ)
アレルヤが悩んでいると、もそもそとニールが近寄ってきた。
その時初めてアレルヤはマジマジとニールを見た。

涙を含んだ大きい瞳とふわふわの髪の毛。
愛らしくピコピコと動く黒い耳と尻尾。

(うっわ!か、かわいいっ)

ニールはテーブルに並んだご飯をじっと見つめる。
食べられるのか悩んでいるのかもしれない。
「あ、えっと……ごめんね」
「?」
謝ると不思議そうにニールはアレルヤを見た。
「僕あまり料理出来ないから」
するとぶんぶんと首を横に振った。
そしてアレルヤの向かいに座るとスプーンを持つ。
アレルヤも慌ててスプーンを掴んだ。
「いただきます」


「……いたーきます」


(喋ったっ!)

アレルヤは目を丸くするが、お腹が空いていたのかニールはガツガツと食べている。
(ちょっと感動だ)
なんとか作って良かった。
「おいち」
「ほ、ホント?」
コクリと頷いたニールにアレルヤは頬を緩ませる。
「あ、ケチャップ付いてる」
アレルヤがニールの頬に手を伸ばすとニールは目をパチパチとさせた。
プニプニとした感触にアレルヤは笑う。


(うん、なんとかやっていけそう)


ニールに飼い主が見つかるまで。


(一緒にいようね)





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あきゅろす。
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