ボクがヒーロー
2
不穏分子を良しとしない特別高等警察にとって、ボクの存在というのは処分対象だ。
そんな僕を見つけて、自分のことも顧みずに匿ってくれた人が彼だった、はずだった。
彼は僕のヒーローで、僕の大切な人だ。
「でも、こんなの」
こんなの、僕の「ヒーロー」だった「彼」じゃない。
脚なんて勝手に動くんだ。
ボクはこんなに積極性あったんだな、なんて、頭の端っこで考えながら。
ノックなんて必要ない。
最初に言う言葉なんて、もう決めてあったんだし。
「この腰抜け!」
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