頭痛
2
「……ミズー」
卯にしては珍しい遠慮がちな声に、水月は少し驚いた。が、それを悟られるとまた騒ぎだしそうなので、目線は下のまま何や、とだけ呟く。
一息置いて、卯は口を少し開いた。
「ミズはバカだけどー」
失礼な。
「分かんないことをたくさん教えてくれるからー」
何が言いたいんだ。
「動けないときはおんぶしてあげるしー」
脚引きずるだろうが。
「困ったら助けてあげるからー……」
伝わらないよ。
伝わらないよ。全く分からないよ。
言いたいことがまとまらない様子で、あーだのうーだの言い始める卯を視線から外した。
こいつはこれだから。計算もできるし策略も立てられるのに、人間性に欠けるから。人間じゃないけれど。
一緒にいるだけで頭が痛い。
いつ殺されるか分からないこんな場所で、二人でいるという今があることが、頭痛の原因に違いない。
そう、勝手に決め付けた。
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