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頭痛
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 頭が痛い。

 隣に佇む少年は、場違いなテンポのへたくそな口笛を吹いている。爆音は遠い。人の群れは既に下層へ流れて行ったのだろうか。



 頭が痛い。

 米神に指を押し付けてみる。何も起こらない。


「はあぁ……」

 そこで漸く、水月は深いため息をついて、隣の少年の頭を全力で殴ったのだった。




「痛いよー」
 卯は殴られた後頭部を抑えてぼやいた。360度どの角度から彼を見たって、痛みに顔をゆがめているようには見えないだろう。
 そんな彼の様子を見て、水月はまたため息をついた。


 この空間に時間はない。そんなことを頭の隅で思った。
 終わりは死か地かの二択だ。ここで誰かに殺されるか、この白く赤い建物から出るか。
 時間など意味も持たない。誰もが勝利を目指し、あるいは多く殺すことを目指す。

 商売は好きだ。誰かを騙すことに負い目を感じるほどの善人でもない。


 けど殺しは違う。頭のどこかで分かってる。
 
 けど殺さなければいけない。頭のどこかで分かってる。



「あー、頭、痛いわぁ」

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あきゅろす。
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