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04

「…若葉も一緒にやる?俺と若葉で店持つの。若葉だったら大歓迎…。」

「え…?」

「ずっと考えてた。若葉の接客みたいな…お客さんが癒やされて、明日も頑張ろうって思えるような店…。若葉みたいな店を作りたいって、ずっと考えてた。」

長知は立ち止まって雅を見つめた。

寒い夜空の下、二人は見つめ合う。

雅は真剣に長知に思いの丈を話した。

「最初はさ…漠然と店持てたら良いなぁって、夢物語だったんだよ。でも、若葉と出会って変わったんだ。あんな風に、優しくお客さんに寄り添えるような場所を作りたいって思って…。それを俺と若葉で叶えたいと思うようになって…。」

「……ぁ、」

「っていきなり言われても困るよな?でもさ、一応考えといて!勿論資金は俺が払う!若葉は俺に付いて来てくれれば良いだけだから!」

雅は少し気まずそうに長知の肩を叩き、再び歩き出した。

その背中、言葉に…長知の目からは涙が溢れ出す。

まるでプロポーズをされたような…そんな幸福な時間だった。

なのに現実は残酷で、長知は何が正しいのか分からなくなる。

本当の自分を隠し続けて雅の夢を共に叶えるか…、雅への思いを断ち切って自身の夢を叶えるか…。

選択は二つ、残酷な選択。

「若葉ー?どしたー?」

「ぁ、あ…、」

「若葉〜!」

「っ…来ないで!」

ついて来る気配のない長知に痺れを切らせた雅だったが、制止の声に足を止める。

外は暗く、人影もない。

長知がどんな表情をしているのか、雅には全く見えていなかった。

「ありがとう…。でも、僕にも夢がある!」

「…知ってる。店長に聞いた。だから誘ったんだ。」

雅は密かに長知の夢を聞いていた。

それが女装の場であるとは知らず、誘いたいと思っていた相手との夢が一致していた時点で、どこか運命めいたものを感じていた。

「僕は僕の夢を叶える。」

「俺の夢は…お前の夢でもあると思う。だから、若葉の好きにして良い。金なら沢山あるし…。」

「違う…違う…!」

「若葉!?」

耐えきれずしゃがみ込んだ長知に雅が駆け寄る。

近付いて、ようやく長知が泣いている事に気が付いた雅は、自分の気持ちがここまで長知を追い詰めているとは知らずに驚いた。




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