それが恋だから これは恋なのかA でも、突然そんなことを話しかけるわけにはいかない。 こっちはただのバイトの高校生、向こうは大事なお客様。 …それにただでさえ、近寄りがたいオーラを発生させているっていうのに。 しかし歯がゆさに耐えきれなくなったある日、俺は思いきって爺さん店長に提案をした。 「お薦めPOPを書いていいですか?」…と。 店長は、なんてやる気のある子だ、今どきの高校生には珍しい!なんて感動して、提案をすんなり受け入れてくれた。 ちょっと罪悪感も感じたけど、それから俺は早速、前評判のいい新刊の本のPOPを書くついでみたいに、自分の薦めたい本も勝手にこっそり平積みにして(大抵1冊しか在庫はないけど)その横にPOPのカードを挟めたスタンドを設置した。 小さい本屋だから、きっと気がつくだろう。 俺と同じ本を読んで、同じ思いを感じて欲しい。 …なんとなくだけど、そう思って。 そしてそれ以来、彼に俺の好きな本を買わせることが、学校とバイトだけの退屈な日常の中での、唯一の生きがいになった。 [*back][next#] [戻る] |