君を想う。(MM配信中)
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その日、空を見上げると
晴れているのに、雨が降っていて光りを浴びた水滴がキラキラ輝いていて………。
綺麗だと…本当に美しいと…感じたんだよ。
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君を想う。
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恋をして、終止符さえ与えられず。
──……君は何処に行った?
サイゴに君を見たのは、雨が降りそうな、どんよりとした曇空の下。
いつもの悪戯を企む少年の笑顔で手を振って。
蜂蜜色を束ねた髪を瞬かせ、赤いコートを揺らし。
小さくなり。
とうとう降り出した雨粒で、眼が霞んで、一度だけ瞬きをした瞬間。
──もう見えなくなっていた。
君は、色彩の無い雑踏に溶かされたよう。
あの日、手を──離さなければ良かった。
君の掌の温もりは、もう消えてしまったよ。
温もりを無くし、かじかんだ掌を…暖めて……──
暖めてくれないだろうか?
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