君を想う。(MM配信中) 1 その日、空を見上げると 晴れているのに、雨が降っていて光りを浴びた水滴がキラキラ輝いていて………。 綺麗だと…本当に美しいと…感じたんだよ。 ━━━━━━━━━━━ 君を想う。 ━━━━━━━━━━━ 恋をして、終止符さえ与えられず。 ──……君は何処に行った? サイゴに君を見たのは、雨が降りそうな、どんよりとした曇空の下。 いつもの悪戯を企む少年の笑顔で手を振って。 蜂蜜色を束ねた髪を瞬かせ、赤いコートを揺らし。 小さくなり。 とうとう降り出した雨粒で、眼が霞んで、一度だけ瞬きをした瞬間。 ──もう見えなくなっていた。 君は、色彩の無い雑踏に溶かされたよう。 あの日、手を──離さなければ良かった。 君の掌の温もりは、もう消えてしまったよ。 温もりを無くし、かじかんだ掌を…暖めて……── 暖めてくれないだろうか? [次へ#] [戻る] |