■ 愛しい世界に ■
ロイversion.
眠る貴方の横顔をそっと撫でた。
微める程に注意深く。
肌のキメを感じられる程丹念に。
外を歩き回っているわりに随分と白い肌。
少年の柔らかな肌は私の指先に吸い付く様だ。
唇に触れた瞬間、ピクリと僅かに動き、私はゆっくりと口角を上げた。
「まだ‥寝ないのか?
大佐…明日、朝早いんだろ?」
アーモンド型の綺麗な黄金の瞳を此方に向け、目覚めたばかりのゆったりとした口調で問う。
「眠るのが惜しくてね」
穏やかにそう返し、顔にかかる相手の髪を掬い上げた。
「なんだそれ」
ふてくされた表情でソッポを向いた。それは彼の照れた時の仕草である。
後ろから小さな背中を包んでやると難無く私の腕に絡み付く鋼の義手。
「鋼の」
呼んだら当たり前に顔を反らせ、此方に視線を向けた彼の唇を塞ぐ。
「大佐?」
そんな私の行動に不思議そうに瞳を瞬かせる。
冷たい無機質な彼の右手を頬に触れ、私は小指に口付けた。
ヒクリと‥‥
感触のない筈の彼の指が動き。
瞳を細め、私に応える。
愛しい。
このまっさらなシーツの上が世界の全てなら
どんなに幸せか‥‥
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