■ 愛しい世界に ■
エドversion.
頬の‥頬骨の辺りをなぞる様な感触に眼が覚めた。 その擽る様な感触はゆっくりと唇へと移動しオレは瞳を開く。
暗がりの中に、漆黒の瞳孔の光。
オレを見遣り微笑む彼に話し掛ける。
「まだ‥寝ないのか?
大佐…明日、朝早いんだろ?」
確か、明日は早目に出勤しなくてはいけないと‥、眠る前に大佐は愚痴っていた。
「眠るのが惜しくてね」
何を言ってんだ。
大佐らしい返答に呆れてしまう。
長い指先が近付いてきて瞳に掛る邪魔な髪を掬い上げた。
「なんだそれ」
一言で吐き捨て、大佐に背を向けた。
余りに大佐がにやけた表情をする為、此方が照れてしまう。
「──‥!」
後ろから抱きすくめられ胸が高鳴る。それに気付かれない様絡み付く腕に強く力を込めた。
「鋼の」
しっとりとした声色で名を呼ばれ、顔を上げた。
この声は駄目なんだ。
腰に来る。
大佐のキスが降って来て、オレはそっと顎先を上げ応じ。大佐の唇が触れただけで妙な興奮に囚われ。
「大佐?」
悔しいから平気な振りして。
体の向きを大佐に戻し、右手で彼の頬に触れてみる。
冷たかった?
触れた瞬間薄く瞼を伏せ機械鎧の小指に口付けて。
ヒクリと‥‥
視覚から犯された。
オレの感触のない筈の右手に熱を感じる。さっきの‥‥唇の感触がリアルに蘇る。
思いも因らず反応を示した自分の躯に驚いた。
もうこんなに
染み付いてるのか?
オレのカラダは‥‥心は‥‥大佐に染められて。
このまっさらなシーツの上が世界の全てで
大佐の事だけ考えて過ごせたらどんなに幸せか‥‥
愛してる。
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