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【朧月】


「やめろッ…──!! ぁ、うっ」

 抵抗してるのは、言葉だけだった。
 大佐の舌がケツの割れ目を這い擦り回るヌメヌメした感触。舌が触れた熱い部分から水分が熱を奪い、みるみる冷たくなっていく。

「…‥‥ッ!! はっ、あぁあ……!!」
「大分濡れてきたか?」

 そう言って大佐は自らをオレの中に侵入させた。

「───ッ、ハッ、ああぁ──!!」

  オレの激痛による絶叫は、大佐によって塞がれた。
 その後、大佐はオレを玩具(おもちゃ)の様に、貪り尽くした。


 それは、今に至る。




 ────────────


 イヤな事を思い出してしまった。
 漸くオレは泥だらけの躰を起こす気力が戻った。

 アルが心配するから、こんな姿でホテルには戻れない。
 考えた末、もう一度軍司令部に戻ることにした。

 軍支給の着替えを借り、脱衣所に備え付けてある洗濯機に身に着けていた服を突っ込むと、シャワー室に入る。
 広く通路がとられ、その脇に辛うじてプライバシーが守られる薄い板で囲まれた個室が並ぶ。
 オレは一番奥のシャワー室へと入り汚れを落とし始めた。
 石鹸を擦り付け、身を清める。

「──…‥っ!!」

 洗い終え、シャワーの蛇口を捻り湯を止めた瞬間、シャワー室の扉が開き、身を固めた。
 誰だ──?

 オレが警戒したのは、極自然だったと思う。
 入ってきた人物はシャワーを使うでもなく、通路を歩き始めた。 まるで、誰かを、探してるみたいに。

 仕切りの板は、外からでも中の人物の膝下は見える様になっていた。
 その隙間から外に立つ人物の軍服が揺れ、立ち止まった。

「鋼の?」

 大佐──!!??
 ななななななんで!!?

「君が、戻ってると聞いてね。多分此処だって思ったんだ」

 返事もしてないのに、大佐はオレと確定し、話を続けた。

「何しに来たんだよ?」

 声を押し殺し訊ねた。
 さっき、思い出してしまったあの事も手伝い、感情的になっている様だった。堪え切れず……

「何だよ……? アレだけやって足りない訳?」

 言ってしまった。


「…‥、其れだけ悪態をつけるなら心配ないな」

 大佐の言葉が上手く呑み込めない。
 ──心配してくれてた?
 オレを態々探しに来たのか?
 思わず胸が熱くなる。


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あきゅろす。
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