小説:生徒会庶務の災難
3 過去
目がさめると、知らない天井が目に入ってきた。
「ここ、どこ…」
「…あ。目が覚めたのね?」
看護婦さんらしき人が入ってきた。
「ここは病院。今までのこと…覚えてる?」
ー全てを思い出した。
「アンナ、アンナはどこ…!?」
慌てて聞くと、看護婦さんは視線を逸らした。
「残念だけれど…」
…え?
「死んじゃった…の…?」
「…」
看護婦さんは何も言わない。
「嘘っ…嘘だっ!」
「瑞季」
俺が首を振り、大声を出すと、誰かに呼ばれた。
声のした方向をみると、父さんがいた。
「あ…」
「全く…父さんの言うことを聞かないからこうなるんだ」
溜め息をつき、父さんは続けた。
「しかし、いい機会だったのかもしれないな。お前にまとわりつく虫を排除できたのだから。お前は跡取りなのだから、下らないモノに唆されていては困るんだよ」
は…?
「父さん、何言って…」
「あぁそうだ。お前にはアレのことは忘れてもらわないと。直ぐに家族にはこの町から出ていってもらおう」
「なっ…!?何を…!」
抗議する間もなく、父さんは出ていった。
…それから3日後。
アンナの家族は強制的に引っ越しをさせられたらしい。
家は、なくなっていた。
俺は最低だ。
あんなに助けてもらってきたのに。
アンナの家族も、よくしてくれたのに。
ありがとうも、ごめんも言えないまま。
そして…
『私ね、瑞季のこと…大好きだった』
返事もできなかった。
最後の別れの言葉すら。
俺なんて、死んでしまえばいい。
何度そう思ったことか。
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