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君のため




 「わぁ、弥生が頼んだのおいしそう。僕に一口ちょうだい」


 「俺も食べたぁい!弥生...俺にあーんして〜」


 「えー、僕もしてほしい!弥生、僕にもして」


 「いやいや、2人とも自分で食べなよ。僕のは好きなだけ食べていいからさ。...って、何、和史のそのフォークに刺さったお肉は、」


 「食べろ」


 「え?...うーん、じゃあ遠慮なくいただきます」


 「あーっ!いいないいなぁ、俺もやる〜〜っ」


 「僕も!」



 ―



 ――



 ―――



 「...チッ」



 幸せそうな4人の姿。食堂に着き、すぐに俺は奴らの姿を見つけた。

 沙原弥生を囲むようにして、左右にそれぞれ座っている永妻に綾西、そして沙原の向かいに座るのは香月。


 明るい口調に笑い声、朗らかな笑顔。


 それらは全て今の俺には“作りもの”でしかできないものばかりだった。

 

 宵人のことなど頭に無いように幸せそうな雰囲気を出す奴ら。...いや、きっともう気にしてもいないのだろう。


 今のところ宵人のことを心に留めているのは綾西ただ1人。でも、あいつも俺と同じような人種だ。

 俺に責められたことによって内心焦り、不安を埋めるかのようにして必死に沙原に縋ろうとしているのだ。
 ...俺が宵人を酷く求めたように、


 「楽しいのは...幸せなのは今だけだ。すぐに1人ずつ堕としてやる」



 表情もなく4人を眺めてから、俺は接触するため計画通り動きだした。



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あきゅろす。
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