君のため 4 「わぁ、弥生が頼んだのおいしそう。僕に一口ちょうだい」 「俺も食べたぁい!弥生...俺にあーんして〜」 「えー、僕もしてほしい!弥生、僕にもして」 「いやいや、2人とも自分で食べなよ。僕のは好きなだけ食べていいからさ。...って、何、和史のそのフォークに刺さったお肉は、」 「食べろ」 「え?...うーん、じゃあ遠慮なくいただきます」 「あーっ!いいないいなぁ、俺もやる〜〜っ」 「僕も!」 ― ―― ――― 「...チッ」 幸せそうな4人の姿。食堂に着き、すぐに俺は奴らの姿を見つけた。 沙原弥生を囲むようにして、左右にそれぞれ座っている永妻に綾西、そして沙原の向かいに座るのは香月。 明るい口調に笑い声、朗らかな笑顔。 それらは全て今の俺には“作りもの”でしかできないものばかりだった。 宵人のことなど頭に無いように幸せそうな雰囲気を出す奴ら。...いや、きっともう気にしてもいないのだろう。 今のところ宵人のことを心に留めているのは綾西ただ1人。でも、あいつも俺と同じような人種だ。 俺に責められたことによって内心焦り、不安を埋めるかのようにして必死に沙原に縋ろうとしているのだ。 ...俺が宵人を酷く求めたように、 「楽しいのは...幸せなのは今だけだ。すぐに1人ずつ堕としてやる」 表情もなく4人を眺めてから、俺は接触するため計画通り動きだした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |