叶わないと知っていても
7
僕の肩に埋められた浩の顔。
頬をくすぐる吐息は凄く熱かった。
「今更遅ぇと思う。
約束だってすっぽかしてたし浮気だっていっぱいした。
けどお前がいなくなってから他のヤツが抱けなくなった。
いつだってお前を探してた。
嫌だったら突き飛ばしていい。
───俺は静樹≠ェ好きなんだ」
止めどなく涙が溢れた。
僕が君の口から一番聞きたかった言葉。
「…本当に、今更だ。
こんなに強く抱きしめられたら突き飛ばせないじゃん」
僕がそう言うと浩は更に腕の力を強める。
それが凄く、嬉しかった。
「もう、浮気しない?」
「ああ」
「約束だってやぶらない?」
「ああ」
「僕を、一番に愛してく…」
言い終わる前に浩の唇が僕の唇と重なった。
優しく、深く重ねられた唇。
周りが見てても気にならないくらい幸せなキスだった。
「俺はお前しかいらねぇ。
別れたいっつっても絶対ぇ離さねぇから。
…愛してるよ静樹」
あれだけ忘れたかったのに、僕は君の言葉で何回でも恋をする。
別の生き物みたいに胸が騒ぎ出す。
嬉しくて笑みがこぼれる。
「ずっと前から僕は浩を愛しています」
叶わないと思っていた、契約的恋愛。
無理だとわかっていながら捨てきれなかった君への想い。
愛しています、誰よりも君を。
だから君も僕を愛してください。
───溺れるくらいの愛を。
‐END‐
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