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叶わないと知っていても
6



「───静樹…!!!」



突然の声と後ろから抱き締められる感触に僕は目を見開いた。
聞き間違えるはずない。
僕がずっと聞きたかった声。



「何で…いなくなんだよ」



逃がそうに吐き出された言葉を僕は理解できない。
いなくなったって彼にとっては何も変わらないはずだ。
いやもしかして僕と和樹を間違えてる…?



「───ごめん」



声に言葉にきつく抱き締めてくる腕の強さに温もりに、何故か僕は涙が出た。
僕じゃなく和樹に向けられた想い。
僕がずっと欲しかった想い。



「浩、僕は和樹じゃないよ」



彼には、浩には間違えられたくなかった。
僕は和樹ではなく静樹だと伝えたのに腕の力は増すばかりだ。



「静樹って呼んだだろ。

もう俺のこと好きじゃねぇのかよ…」



意味がわからなかった。
確かに静樹って彼は呼んでいたが何で僕を今抱き締めているんだろう。
今でも浩が好きだけど、浩は和樹が好きなんでしょ?



「お前がいなくなって、凄ぇ苦しかった。

最初は和樹がいなくなったからだって思ってたけど気づいたら繋がらないお前の番号に電話しててアナウンス聞く度に胸が痛くなった」





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あきゅろす。
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