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叶わないと知っていても
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あれから一年が経った。
最初は慣れなかった新しい学園にも幾分慣れてきて僕はここでの生活ライフに充実している。
たまに降る雨に微かに胸は痛むけれど僕は確実に前へ踏み出せていると思う。
今日はこの学園に来てから初めての学園祭だ。
全寮制のこの学園に唯一外部の一般人が入れる日、かなり盛り上がり、豪華なので行事の中でも凄く大切な日だとクラスメイトが言っていた。
でも実際はそれ以上のものだった。
この学園がいくら金持ちが多いから敷地も広いとはいえ歩きにくい程人がいる。
これは凄いな。
僕のクラスはコスプレ喫茶なので僕は執事の格好に猫の耳と尻尾を着けて宣伝している。
恥ずかしいと思いながら廊下を歩いていたけどその格好が違和感を感じないくらい周りの格好も凄かった。
メイドにセーラー服にドレスにミニスカ。
勿論男子校なので全員男だ。
中にはゴツいマッチョが女用のワンピースを来てたりするので僕は全然良い方だと思う。
和樹のクラスはお化け屋敷だと言っていたのであとで行ってみよう。
目の前に一組のカップルがいた。
幸せそうに笑い合いながら手を繋いで歩いてくる。
僕も、彼と手を繋いで歩いてみたかったな。
思えば恋人らしいことなんて一度もしなかった。
それもそうか。
僕は彼が好きだったけど彼は僕が好きなわけではなかったのだから。





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