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結局、教室まで一緒に行った私達。もちろん遅刻しました。
「あ――!!棗っ!うちの妹に何しとんじゃー!!!」
教室に入った途端、蜜柑が私達の姿を見て叫んだ。…ってか、蜜柑の妹って嫌な感じ…
「…うるさい」
日向君は眉間に皺を寄せて呟いた。…本当に迷惑そう(笑)
「まさかあんた、うちと最初に会った時みたいに…っ!!」
何を思い出したのか、蜜柑は隣の席の蛍ちゃんに抱きついていた。…日向君、何したの…?
「へっ変態痴漢男…っ!!」
えっ・・・。
日向君を見ると、何でもなさそうに席に座った。…蜜柑、どんまい。日向君、完璧シカトしてるよ。
「誰が変態痴漢男だ。第一、痴漢ってのはバカが下心持ってやるから痴漢なんだよ。お前に下心もくそもわくかよ、バーカ。ま、凛ならわかなくもないけどな」
………えっ?!!!
「なんや「ちょ、日向君?私ならって…」…凛?」
「昨日、ベンチで寝てただろ。あの時何回もスカート捲れて見えてたぜ、" く ろ チェ ッ ク "」
「み、見たの??///」
信じらんないんだけど!!てゆーか、昨日すごい普通に話してたよね?何で今更?てゆーかこのタイミングで?!
「水玉よりマシだな。少しは妹を見習ったらどうだ?」
「ウキ――――!!!!!!ど変態痴漢男!!」
蜜柑が猿化してるし、変態のまえに"ど"が付いてるし…。
「はいはい、そこまで」
ざわつく教室を一瞬で静めたのは、今朝私がナルシスト発言をしたナル先生。…って、乃木君と日向君が先生見て笑ってる…。
「昨日言い忘れちゃったよね。凛ちゃんのパートナーは棗君だよ」
「「「…え――――?!」」」
「2人は同じ星階級だし、何かと合いそうだからね。んじゃ、僕からはそれだけ。アデュー!!」
…先生、全然かっこよくないですよ。てゆーか、何でナル先生が来たらみんな大人しくなったんだろ…。てゆーか、パートナーって…?
「ねぇ、パートナーって何?」
「転入生は、この広い学園、右も左も分からないだろ?だから、パートナーに教えてもらうんだ。確か佐倉も棗のパートナーだったような…」
蜜柑も??
「あんな奴、放っておけばいいだろ」
「え、私も放置されるの?結構困るんだけど」
「…誰もお前を放っておくなんて言ってないだろ」
「あ、えっと…じゃぁ、よろしく?」
なんか知らないけど、乃木君と日向君とは仲良くなれそうです。
私がアリス学園に転入してから1週間以上経った。最初は乃木君・日向君って呼んでたけど、今は仲良くなって流架・棗って呼ぶようになった。クラスのみんなとは……あんまり関わってない。みんな、蜜柑をいじって楽しそうだから。そんな所に自分から入るなんて、自分で自分の首を絞めてるようなもんだ。
2回目の任務の時、ペルソナに"お前の能力は誰にも言うな"って言われて、ドキッとした。私が棗にばれたって言ったら、"あいつなら…いいだろう"って言ってたけど、なんで棗ならいいんだろうって思う今日この頃。
「やっぱうちには無理やー!!!」
回想モードから現実に引き戻したのは蜜柑の叫び声。…うるさい。
今は授業中で、アリスストーンってのを作ってる。どうやら、蜜柑はまだ1回もアリスストーンを作れたことがないらしい。
「凛、上手いね。しかも綺麗」
「え?あ……ありがと。流架のも綺麗だよ、そのクリーム色」
なんか、流架のアリスストーンは穏やかで心地良い感じがする。流架の優しさが伝わってくる。
「ありがと//…無効化のアリスストーンって、透明なんだね」
「え?あ、うん…(たぶん、消滅のアリスだからだよ?)」
消滅ってことは、何もないんだから。無色透明なの、わかるよね。
「そんな暗い顔すんな」
「へ?」
隣でマンガを読んでいた棗が不意に声をかけてきた。…って、私、暗い顔してた…?いかんいかん。
「…棗のアリスストーンは、綺麗な赤だね」
「ほんとほんと!!さすが棗君!!真っ赤な炎みたいで凄い綺麗です!!!」
…正田さん、話に割り込まないでください。てゆーか、棗の機嫌悪くなってるの気付かないのかな?流架も若干機嫌悪くなってるし…
「ほんと、綺麗だね。夕日みたいで。私、夕焼けの空が1番好きなんだぁ」
棗のアリスストーンは、凄く優しい。温かくて、優しい気持ちになれる。
「それに、リンゴみたいに赤いし、美味しそう」
笑ってそう言うと、棗と流架の機嫌がよくなった。
「そっそうですよね!!あ、凛さんのも綺麗ですね!!あの星なしとは大違いですわ!!」
………言っちゃっていいですか?邪魔なんですけど。煩いんですけど。そんなに騒ぐと蜜柑が…
「なんやて?!うち、一生懸命やっとるやん!!凛はもとから凄いんや!!」
…ほら、煩いのが増えた。…てゆーか、もとから凄いって酷くない?私だって頑張ってるんだよ…?
私達の前で口喧嘩を始めた蜜柑と正田さん。かなり目立ってるし…せっかく棗と流架のアリスストーン見て和んでたのに…
「うるさい」
す、すごい…棗の一言で正田さんの動きが止まって…あ、
「ぅぎゃぁ?!」
蜜柑がそのまま正田さんに掴みかかって、勢いのあまり2人一緒に倒れた。…痛そうだな。
「大丈夫?」
声をかけると、正田さんは腰を押さえて大丈夫ですわ…と言った。大丈夫そうに見えないけど…
「かんにんな?つい勢いあまって…」
「べっ別にあんたに心配してもらう筋合いないわよ」
何だかんだいって、この2人は仲がいいのかも・・・。
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