8 結局、教室まで一緒に行った私達。もちろん遅刻しました。 「あ――!!棗っ!うちの妹に何しとんじゃー!!!」 教室に入った途端、蜜柑が私達の姿を見て叫んだ。…ってか、蜜柑の妹って嫌な感じ… 「…うるさい」 日向君は眉間に皺を寄せて呟いた。…本当に迷惑そう(笑) 「まさかあんた、うちと最初に会った時みたいに…っ!!」 何を思い出したのか、蜜柑は隣の席の蛍ちゃんに抱きついていた。…日向君、何したの…? 「へっ変態痴漢男…っ!!」 えっ・・・。 日向君を見ると、何でもなさそうに席に座った。…蜜柑、どんまい。日向君、完璧シカトしてるよ。 「誰が変態痴漢男だ。第一、痴漢ってのはバカが下心持ってやるから痴漢なんだよ。お前に下心もくそもわくかよ、バーカ。ま、凛ならわかなくもないけどな」 ………えっ?!!! 「なんや「ちょ、日向君?私ならって…」…凛?」 「昨日、ベンチで寝てただろ。あの時何回もスカート捲れて見えてたぜ、" く ろ チェ ッ ク "」 「み、見たの??///」 信じらんないんだけど!!てゆーか、昨日すごい普通に話してたよね?何で今更?てゆーかこのタイミングで?! 「水玉よりマシだな。少しは妹を見習ったらどうだ?」 「ウキ――――!!!!!!ど変態痴漢男!!」 蜜柑が猿化してるし、変態のまえに"ど"が付いてるし…。 「はいはい、そこまで」 ざわつく教室を一瞬で静めたのは、今朝私がナルシスト発言をしたナル先生。…って、乃木君と日向君が先生見て笑ってる…。 「昨日言い忘れちゃったよね。凛ちゃんのパートナーは棗君だよ」 「「「…え――――?!」」」 「2人は同じ星階級だし、何かと合いそうだからね。んじゃ、僕からはそれだけ。アデュー!!」 …先生、全然かっこよくないですよ。てゆーか、何でナル先生が来たらみんな大人しくなったんだろ…。てゆーか、パートナーって…? 「ねぇ、パートナーって何?」 「転入生は、この広い学園、右も左も分からないだろ?だから、パートナーに教えてもらうんだ。確か佐倉も棗のパートナーだったような…」 蜜柑も?? 「あんな奴、放っておけばいいだろ」 「え、私も放置されるの?結構困るんだけど」 「…誰もお前を放っておくなんて言ってないだろ」 「あ、えっと…じゃぁ、よろしく?」 なんか知らないけど、乃木君と日向君とは仲良くなれそうです。 私がアリス学園に転入してから1週間以上経った。最初は乃木君・日向君って呼んでたけど、今は仲良くなって流架・棗って呼ぶようになった。クラスのみんなとは……あんまり関わってない。みんな、蜜柑をいじって楽しそうだから。そんな所に自分から入るなんて、自分で自分の首を絞めてるようなもんだ。 2回目の任務の時、ペルソナに"お前の能力は誰にも言うな"って言われて、ドキッとした。私が棗にばれたって言ったら、"あいつなら…いいだろう"って言ってたけど、なんで棗ならいいんだろうって思う今日この頃。 「やっぱうちには無理やー!!!」 回想モードから現実に引き戻したのは蜜柑の叫び声。…うるさい。 今は授業中で、アリスストーンってのを作ってる。どうやら、蜜柑はまだ1回もアリスストーンを作れたことがないらしい。 「凛、上手いね。しかも綺麗」 「え?あ……ありがと。流架のも綺麗だよ、そのクリーム色」 なんか、流架のアリスストーンは穏やかで心地良い感じがする。流架の優しさが伝わってくる。 「ありがと//…無効化のアリスストーンって、透明なんだね」 「え?あ、うん…(たぶん、消滅のアリスだからだよ?)」 消滅ってことは、何もないんだから。無色透明なの、わかるよね。 「そんな暗い顔すんな」 「へ?」 隣でマンガを読んでいた棗が不意に声をかけてきた。…って、私、暗い顔してた…?いかんいかん。 「…棗のアリスストーンは、綺麗な赤だね」 「ほんとほんと!!さすが棗君!!真っ赤な炎みたいで凄い綺麗です!!!」 …正田さん、話に割り込まないでください。てゆーか、棗の機嫌悪くなってるの気付かないのかな?流架も若干機嫌悪くなってるし… 「ほんと、綺麗だね。夕日みたいで。私、夕焼けの空が1番好きなんだぁ」 棗のアリスストーンは、凄く優しい。温かくて、優しい気持ちになれる。 「それに、リンゴみたいに赤いし、美味しそう」 笑ってそう言うと、棗と流架の機嫌がよくなった。 「そっそうですよね!!あ、凛さんのも綺麗ですね!!あの星なしとは大違いですわ!!」 ………言っちゃっていいですか?邪魔なんですけど。煩いんですけど。そんなに騒ぐと蜜柑が… 「なんやて?!うち、一生懸命やっとるやん!!凛はもとから凄いんや!!」 …ほら、煩いのが増えた。…てゆーか、もとから凄いって酷くない?私だって頑張ってるんだよ…? 私達の前で口喧嘩を始めた蜜柑と正田さん。かなり目立ってるし…せっかく棗と流架のアリスストーン見て和んでたのに… 「うるさい」 す、すごい…棗の一言で正田さんの動きが止まって…あ、 「ぅぎゃぁ?!」 蜜柑がそのまま正田さんに掴みかかって、勢いのあまり2人一緒に倒れた。…痛そうだな。 「大丈夫?」 声をかけると、正田さんは腰を押さえて大丈夫ですわ…と言った。大丈夫そうに見えないけど… 「かんにんな?つい勢いあまって…」 「べっ別にあんたに心配してもらう筋合いないわよ」 何だかんだいって、この2人は仲がいいのかも・・・。 [*前へ][次へ#] [戻る] |