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「最近、冬獅郎の笑顔…見てないんですよね〜…」
「え、私は一度も見たことないような…」
「そ、そうじゃなくて……ほら、眉間の皺の量が全然減らないような…」
「(きっと、隊長の笑顔を見たことがある人なんてあんたくらいよ…)」
「やっぱり、私は隊長を幸せにはできないんでしょうかね…」
「そんなことないわっ!今の隊長は……そのうち凛にベタベタになって、逆に凛が嫌がるくらいになっちゃうんだから」
私は、笑うことしかできなかった。
(嫌になるなんて、ありえませんよ)
「てゆーか、隊長はどこ行ったの?!昨日の今日で…まったく懲りてないんだから…」
「仕方ないじゃないですか」
そう…昨日、私が勇気を出して言った日。乱菊さんは、冬獅郎に何か言ってくれたらしい。だけど、今日の冬獅郎は相変わらず。休憩に行ってくると言って、四番隊に行ってしまった。…休憩が四番隊?しかも雛森副隊長のところ?……、
???
「な、なに…?この足音…」
「ま、松本副隊長、桜井三席!!雛森副隊長が目を覚ましました!」
そう報告しに来たのは、四番隊の友人、花太郎だった。
「……乱菊さん、私、仕事に戻りますね」
「え、ちょ、凛?!」
乱菊さんの焦って私を呼びとめる声さえ、煩わしかった。
”心配しすぎだよ、シロちゃんったらぁ〜”
”心配するに決まってんだろ?…よかった、目が覚めて”
”ちょ、髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃうじゃんっ”
”…黙ってろ”
久々に見た冬獅郎の笑みは、私に向けられていなかった。執務室を飛び出すようにして四番隊に向かった私達。ドアを開けて1番に見たのは…起き上った雛森副隊長と、笑顔の冬獅郎だった。
…やっぱり、彼の中での私の順位は2番だ。1番は雛森副隊長だ。……寂しい、ねぇ、寂しいよ…
「わ、私が怪我してれば…」
「そんなこと言わないでくださいっ!!」
「…はな、た、ろう…っ」
私を追いかけてくれたのは、花太郎だけだった。
「え、桜井三席?!」
「…友達、でしょ?」
「……凛ちゃん…」
花太郎の目の前で、私は泣き崩れた。
心配してくれた友達がいた。
心配してくれた、死神の友達がいた。
だから、まだ言っちゃだめ。
”死神なんて、大嫌い”だなんて…。
(きっと、冬獅郎は私霊圧に気付いてた)
(なのに、ここにいない)
(私は所詮、そんなもの)
(価値のない、恋人の肩書を持った、ただの部下)
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