運命の独唱(アリア)
勝負
「では、これより模擬戦闘を行う」
担当のリヒト先生がいうと、実習場は沸き立った。
模擬戦闘はくじ引きで全クラスシャッフルで行われるが、D,E,F クラスの生徒がA、Fクラスとマッチングになる場合棄権し組み直すことも出来る
全員がくじを引くと対戦表は発表された
日向春馬(E)vs金指一馬(C)
滝川八雲(E)vs一條遙(A)
瀬能奏(E)vs周防環(S)
「げっ…、お前らくじ運悪いな…」
日向は対戦表を見ると呟いた
「まぁ、しょうがないね」
奏がそう言うと滝川は「そうだね…」と呟いた
回避方法としては棄権し組み直すこともできるし…
と思いつつ、対戦エリアに入った日向を滝川と見守った
対戦は魔法で四方を囲まれたフィールドで行われる
しかし、相手を死に至らせなければ攻撃方法は問わない
日向の相手の金指一馬は魔方陣型
審判の声が響く
「両者、用意はいいか?それでは、始めっ!!!」
日向は大型の剣を自由自在に操り見事に相手の懐まで潜りこんで勝利した
「日向君!おめでとう!」
帰ってきた日向に嬉々として称賛する滝川に照れつつ日向はグッと親指をたてた
「ねぇ、君がEクラスの滝川八雲君だよねぇー?僕はAクラスの一條遙、君と対戦するんだけどさぁーまっさか棄権とかしないよねぇ〜?」
振り向いた先にいたのは滝川と変わらない身長で細いラインに栗色のふわふわの髪の毛、愛らしい雰囲気の少年だが悪意の固まりでしかない言葉をぶつける
「…っ、しま…せん…」
圧された滝川は顔を真っ青にしながら頷いた。
「…っおいっ!!」
「当人同士の問題にくちはさまないで」
「…っ」
くらいついた日向だったがルールには逆らえず唇を噛み締めた
「…滝川、」
奏が呼ぶと
「大丈夫だよ」
といって滝川は困ったように笑って一條と対戦エリアに入った
魔方陣型の滝川に対して、武器の一條はレイピアを下げている
「始め!」
一條は速かった。
レイピア特有の攻撃、刺突を生かした素早い動きで滝川に攻撃の隙を与えずとどめをささずにいたぶるように追い詰めていく。
何とか滝川が発生させた竜巻もするりと踊るようによけて攻撃を続けた
「…くっ…!」
隣の日向が血が出そうなほど悔しそうに拳を握りしめている
次の瞬間軽い滝川の体が宙をまった。
ピーっという終了のサインを聞いた瞬間日向と奏は滝川のもとへと走った
「流石Eクラスだったね?まぁ、よく僕を引き立たせてくれたよ。てか君、次周防様とでしょ?」
一條は人差し指で奏を指した
「周防様には絶対叶わないけどね、いいもの見せてよ?」
周防環は相当の実力者であり、そのルックスも相乗してファンも多いという
「じゃあ」と言って去っていく一條をみつつ奏は滝川にこえをかけた
「大丈夫?」
日向におんぶされている滝川は弱々しく笑った
「大丈夫…それより瀬能君、棄権した方がいい…君はSクラスの人とでしょ…?ホントに止めた方がいいよ…」
「俺もそう思うよ…奏、止めておけって。」
心配そうにいう二人の言葉を受けて奏は一瞬下を向くと
「やるよ」
と顔を上げて二人を見た
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