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世界で一番きみが好き

貴之と一緒に帰り、家のドアを開けると姉の熱烈な抱擁に迎えられる。



「る――い――!!!」


がばっとまさに効果音が聞こえてきそうなほど、姉は僕を抱きすくめる。


「ゆ、由姉……」



―立花由真、通称由姉(ゆうねえ)。
僕の姉で、ブランド「Ray」のデザイナー兼モデルの23歳。身長は174cm。亜麻色に染めた腰までの長さの髪に、すっと通った鼻筋に、くっきりとした目を特徴とした美人さん。


男である僕より背が高く、さらにヒールを履いているため、自然と僕の顔が由姉の豊満な胸に埋められる形となり、満足に息ができない。


男にしたら嬉しい状況かもしれないけど、今の僕にとっては凶器でしかないよ。


ゆ、由姉……


く……、苦しいです……。


息苦しさを覚え、さすがに命の危険を感じたため、由姉の背中を軽く叩き、サインを送る。


それに、気づいたのか、由姉はゆっくりと僕の体を軽く離すと、「ごめん、ごめん」と言って困ったように笑った。そして、僕が一息ついたところを見計らうと、


「瑠衣ちゃん……、お願いがあるんだけどぉ―」


由姉が瞳を潤ませて、口調をワントーンあげる行動をとるときは、ろくなお願いじゃなかった気がする。


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あきゅろす。
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