[携帯モード] [URL送信]

堕ちた先には
10
「莉……桜……」


やっとのことで絞り出した言葉は、彼女の名前だった。


聞こえるか、聞こえないかの小さな声だったが、莉桜は聞こえたのかゆっくりと顔を渚へと向けた。


他の男性とキスをしながらも表情は変わらなく無表情のまま、視線はまっすぐ渚をとらえていた。


キスの余韻のためか莉桜の頬は、薄く紅潮し、制服はボタンが外れ乱れていた。



「莉桜…、どうして……」



頭が真っ白だ。
突然のことで、いったい何が起こっているのか理解できない。



何をやっているんだ?



そいつは、誰?



莉桜は僕の彼女だよね?



聞きたいこと、聞かなきゃいけないことが、たくさんあるはずなのに言葉が出てこないよ。



ただ、思うのは、なぜ?といった疑問ばかり。



立っていられるのも、不思議なくらい足がガタガタと震えていた。

[*前へ][次へ#]

10/11ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!