季節シリーズ
3
試験前の勉強を放課後の教室でしていた時、机の上に影ができたな、と思っていたらすらっとした指が伸びてきて顔をあげさせられ
「何?」と聞いた口にキスされた。
「なんで?」
内心はパニックになりながらも何とか普通の声で聞く事ができた。
「キスしたかったから」
やはり大輝の答えは簡単だった。
「キスがしたかったら誰でもいいのか?」
「そんなわけないだろ」
「ならなんで?」
重ねて聞くと彼はそっぽを向くように窓の外を見ながら言った。
「染矢が好きだからだ」
彼のその言葉に固まった僕を見て笑いながらまたキスをしてきた。
「付き合わないか」
そう言ってくれた大輝に僕は応える事ができなかった。
「僕は・・・君に好きになってもらえるような人間じゃない」
「それは俺が決める」
ふるふると首を横に振る僕を彼は抱き寄せた。
「何を不安に思っているんだ?今までの俺の素行が不安か?」
「そうじゃない。君じゃない。僕が愛される価値の無い人間だから・・そんな僕が君の側にいたら君に迷惑がかかる・・
もう勉強会は止めよう」
そう言って僕は席を立った。
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