季節シリーズ
22.
「なぜ?」
「俺のカン」
「そんな不確かな・・・」
「駄目もとで誘ってみろよ。どっちにしろ俺は1度、会っておきたいんだから」
「判ったよ」
僕がクスッと笑いながら再び頭を胸に戻すと大輝からも笑った声が響いてきた。
「染矢君、金曜の事なんだけど」
講義が終わった途端、石川君が待ちかねたように声をかけてきた。
「何時に何処に行ったらいい?」
「いや、それはこれから・・・」
「あぁ、何着ていこう」
石川君の反応を見て、また大輝の言った通りだと思う。
「石川君、移動しながら話そう」
「あっ、ごめん」
教室を出て中庭に向かう。次は僕も石川君も講義は入っていないからゆっくり話ができる。
いつもの場所に落ち着くと彼は早速、聞いてきた。
「で、何時に何処?」
「それは僕の友人が手配してくれるんだ」
「染矢君の友人?」
「うん、今回の食事の事も彼が提案してくれて。石川君にも1度、会いたいって言ってたから彼も呼びたいんだけどいいかな?」
「俺は全然、構わないけど・・・なんで俺に会いたいんだろ?」
「僕が大学の話をすると必ず、石川君の話になるから挨拶をしておきたいって言ってるんだ」
「挨拶?」
そこで彼は驚いたような顔をし、その表情を見た僕は言い過ぎたかもと思った。
「僕と同せ・・同居している人で高校からの同級生なんだ」
「あぁ、ルームシェアしてるんだ。染矢君、人見知りするのにその人は大丈夫なんだ」
「うん、まぁ」
ちょうどその時、僕の携帯が震えて、ホッとしながら確認すると大輝からだった。
「石川君、場所と時間が決まったみたいだよ」
「ホント!?」
「18時に<リガロ>だって」
「へぇ、いい店をチョイスするね」
「そうなのか?」
「うん。俺達がよく行くような居酒屋とはちょっと違うかな。女の子とか喜ぶ店だよ」
「ふうん・・・」
そんな店なんて行ったことが無いからよく判らなかったけど石川君が喜んでいる姿を見て大輝に任せて良かったと思った。
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