逆転(BL)
光明(ミツナル)
お前のこと、好きだったよ
──…
御剣が遠くへ行った。俺に何も言わずに、いや、言う必要はないけれど。
(…いつから好きだったんだ?)
幼心からの好意ではない、はずだった。名前を見る度、恋しくなった。揺るがないまっすぐで、きれいな視線は、今も胸を焦がす。
『…嫌でも僕に会うことになるだろ?』
お前に会いにきたんだよ、御剣。弁護士になったのは、お前のためだったんだ。でも、今はいろいろな人に会って、僕はようやく弁護士になれたと思う。御剣と法廷で会ってから。
「…ずっと好きだった。お前のおかげで僕は変われたんだ」
『…』
無機物の向こうからは何も返ってこない。ようやく繋がったんだ、もうこの時しかない。
(…もう、終わろう)
息を吸い込み、言葉を吐き出した。1つ、1つ。
「御剣、」
『成歩堂、私は君が好きだ。愛しいとも思っている』
だから、と言葉が切れた。
『君から、終わらせることは許さない。絶対に』
(…あぁ、くそ、好きだ)
あの頃と同じ光が、僕の中で笑う。
『待っていてくれ、成歩堂』
(…あぁ、待つよ)
『…また強くなって君が離れることがないようにする、約束しよう』
「…僕もだ」
薄明かりの空から、揺るがない光が部屋を駆け抜けた。
『光明』
(消えない光は巡り、僕らを繋げる)
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