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番外・過去拍手ほか書庫

さすがに異変に気付いたであろう怜はくすぐったそうに少しみじろいだがやはり起きようとはしない。

「怜ちゃん細いし肌もきれいだから大丈夫だよ。だから起きない?」

「んぅ…っ……」

押さえつけられている右腕に力が入り、動かない事にやっと気付いた怜はゆっくりと目を開いた。

「まったく……我儘な眠り姫だね」

腰に手を回しながらしれっと顔のすぐ前で言う。

まだ状況を把握出来ていない怜は不思議そうに首を傾げて、にこにこと微笑む望をぼーっと見上げる。

「の…んちゃ……?」

寝起きで声がかすれて舌足らずな話し方な上に必死に理解しようとじっと見つめるその目は潤んでいて、朝っぱらから色気を全身から放出中。

「ど?ご希望通りの起床法は」

「ご…きぼぉ……って……?」

首を傾げたまま幼い子供の様な仕草で目を擦る。

「怜ちゃんが言ってたんだぞ?そんぐらい言って起こせねぇのか、って。ははんっ。どうだ、完璧に言ってやっただろう」

記憶を辿って思い当たるまでに少し時間がかかった。
そしてこの状態に至った訳に合点が行くと怒りで目が覚めた。

「な…っ!いつの事覚えてんのぉ!?はーなーれーてぇーっ!」

じたばた暴れるのを押さえ付けられ、目覚めのちゅーと言って顔が近付く。

「も…っやだ!ばかぁーっ!」

「お前らいつまで遊んでんだ。早く降りてこい」

開いていたドアから悟がそれだけを言って去った。

「はーい。怜ちゃんもどうせだから朝飯食えば?」

おふざけタイムは終了なのか、あっさり離れて望も部屋を出ていった。

あとに残された怜はぐったりして呟いた。

「もぅ…っ!何なのっ」


寝起き早々ひどく気力体力共に消耗はするが、自分で言っただけあってちょっと悪くないかも。とまんざらでもない怜であった。

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あきゅろす。
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