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短篇
15
マリーは目を覚ますなり、跳ね起きてばたばたと机へ駆け寄った。
夢中でメモ用紙に殴り書いていると、ベッドから起きてきた彼が側へ来てそれを覗き込んだ。

「マリー?」
「夢を見たのっ。普通の夢と違った。わかったの。予言と同じ見え方だった」

見えたもの。感じたもの、情報。
視ながら喋るのとは違って、寝ている時に視えてしまったら覚えている内に書き留めるしかない。
クライヴは、圧倒されながらそれを眺めた。

「視ようとしてないのに…っ。こういう事もあるって聞いてなかった…!」

情けない声を出しても遅い。
一通り書き終え、書き漏らしたことが無いか確認してから、やっと息を吐く。

「お疲れさま」

クライヴはマリーの髪を撫で、ちゅっと額にキスを落とした。
マリーは照れて目を伏せたが、クライヴの腕を取ると、控えめにそっと頬を寄せた。

「私はまだ、予言者としても、お嫁さんとしても未熟です」

がんばらなくちゃ。という決意をもってマリーが言うと、クライヴはふっと吹き出した。
マリーがぷぅっとむくれると、クライヴは笑いながらマリーを撫でる。

「ごめん。バカにしたんじゃないんだ。真面目でひたむきなあなたが、とても可愛らしくて……」

甘い眼差しに見つめられ、愛しげな仕草で髪を撫でられると、マリーはすぐ幸せになれる。

「クライヴさんは、私の運命です。クライヴさんが居ない未来なんて、考えられません」
「そう視えました?」

戯れに、クライヴは聞いてみた。
するとマリーは間を置かず答えた。

「視なくたってわかります。だって……クライヴさんだって、そうでしょう……?」

頬を染め、甘えて問うマリーにキスを落としたクライヴは、唇を触れ合わせたまま答えて、キスの続きを再開した。

「愛してる。愛してます。俺のマリー」
「私も。愛してます」

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