[携帯モード] [URL送信]

Lovely Prince

寮に帰ってくると、入口ですぐに管理人のおじさんに京が呼び止められた。
電話がかかってきていて、放送で呼び出したけれど来なくて困っていたところだったらしい。

「ご家族から」
「どうも」

受話器を受け取って話し始める隣で待っていると暇で、京にちょっかいを出したくなる。
普段遊ばれているだけに、こういう時にこそ逆襲すべきだと企む。
そのくらいきっと許されるんじゃないか。
そんな事を考えているのも知らないで、京はペンとメモを借りて何か書き留めている。

「週末だけでいいんだよな?それ以上は居られないからな」

脇腹を突っついたら、笑いながら額を小突かれた。

「後から無理って言われたって二、三日が限界だからな!それ以上は断る!」

一度里久と目を合わせたら何か企んでいる事をわかったらしく、笑いを堪えている。
京のシャツを引っ張り上げると筋肉質な腹が見えて、里久も誠もそばで必死に声を抑えて笑う。

「俺を頼りにすんなよ!?」

ぴしりと手を叩かれて渋々引っ込める。
と、腕を掴まれたのと同時に足を引っかけて引き寄せられた。
そしてまんまと捕獲されてしまった。
がっちりと背後から抱き込まれて抵抗も出来ない。

片手だけで両腕を押さえ込まれて諦めたのをいいことに、今度は京の仕返しが始まる。
受話器を肩に挟み、自由になった手でシャツをたくしあげられて焦る。
電話中だから声は出せないし、だからといって力でも抵抗出来ない。
最早存分に笑うべく距離をとり、腹を抱えて笑っている誠と里久。

「うぅー…っ」

腹が出されてしまい、何とか隠したくても相手は片手だというのにちっとも動かない。
それどころか徐々にシャツは上げられていて、続々と帰ってきている人達にギョッとされている。

「じゃあな。……だーれが電話中に邪魔してんだー!?」
「ごめんっ、ごめんなさいごめんなさい!もうしないからぁ!」

電話が終わって謝ってから何とか解放されたが、誠と里久は笑いすぎて涙を拭っている。
京もブレザーの胸ポケットにメモを突っ込みながら笑った。

[*前へ][次へ#]

20/59ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!