闇夜の月
1
……………………
『────サリア、…サリア、こっちおいで、サリア。こっちにおいでよ、サリア』
──あ、ユメだ
思わずそう反応する。
自分がユメの中にいるとすぐわかる。
『────サリア、サリアおいでよ』
──やっぱりユメだ
いつも見るユメがある。夢を見るときは、だいたいきまってこのユメが多い。
…誰かに呼ばれているユメ。
このユメを見るたびに一体誰が呼んでいるんだろうと思ってユメを見ている。
『────サリア、サリア』
──あなたは、だれなの…?
『────サリア、サリア』
ユメの中で問いかけてみるけど、ただ自分の名前を呼ばれるだけ。あなたの名前は教えてくれない。
いつもと同じ様に。
『────サリア、サリア…サリア、サリア、おいでよ。サリア、危ないからこっちにおいでよ』
──何?何が危ないの?
何が危ないの と問いかける。しかし、答えてはくれない。
これもいつもと同じ様に。
そして
いつも、ここでこのユメは終わる。これ以上は、見たことがない。
これが、私が見るユメだ。
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