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采は投げられた
3
ドクドクと心臓が、そしていけない部分にも血液が集まり、限界ギリギリだった
そんな俺を知ってか知らずか‥‥


「んちゅ〜〜」

「あに、き‥‥」


唇を近付けて来た兄貴を見た瞬間
プッツンと頭ん中で何かが弾けた


「兄貴、俺‥兄貴の事‥‥」


自然と口から溢れ出ちまう言葉
一生、墓場まで‥‥
口が裂けても言わねぇと誓ったその言葉
だけど‥‥


(やっぱ、言えねぇーや‥)


心ん中でずっと引っ掛かっている魚の骨みてェなもんが、
取れればどんなにいいか


(兄貴‥こんな想い持ってて、ごめんな)


柔らかい髪に指を這わせ、近付いて来た唇に重ね合わせるように顔を寄せた
その時‥‥‥


「ん?‥‥あ、れ?サイ?」


デッカイ目をパチクリと開いた兄貴と目がガチで合う


「〜〜〜ッ!!あ、あ、あああ兄貴!
いや、これは、違ぇ!!違ぇんだ!その〜」

「ん?あははッ、サイ顔赤いぞ?風呂上がりか?
ほれ、髪拭かねぇと!」


ワタワタと慌てる俺の髪が濡れていたのを見た兄貴が
近くにあったタオルで、ガシガシと拭いてくれる


「さ、サンキュー」

「そーいや、友の奴もきちんと拭かないんだよな〜」


何気なく、そして笑顔でそう呟く兄貴を見て
ズキッと胸が痛む

でも、兄貴が笑ってんなら‥‥
いつかこの想いも‥諦めれるよな



「じゃ〜俺も風呂入ろーっと!
あッ、サイ湯冷めしてねぇ?一緒に入る?」

「え゙、え゙ぇ゙えー!!?」


そんな事を無邪気に言う兄貴の下では
まだ、もうしばらくは

(無理かも‥‥)


テメェ自身の想い、こうも意思が弱ェもんか
早くも崩れ去った瞬間だった


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