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知者は惑わず勇者は懼れず
3
「辻だ」


一年の学年にはこんな怖い不良さんはいなかったし
この落ち着いた風貌からして‥



「辻‥先輩?」

「ぁあ、ッんだよ?」

「よよよ‥よ、呼んでみただけで」

「ッ!‥‥‥チッ!」


ギロリッと殺されそうな睨みを利かされ
心臓が握り潰された感覚に陥る


先輩という事は分かった
名前も知れた

だけど
やっぱり気まずいんですけどッ!



「お前‥‥」

「は、はぃいい!?」



心臓に悪い
またまた先輩からの突然の呼び掛けに、心臓が大きく打ち付ける



「それしか食わねぇのか?」



『それ』
と、言われたのは、またしてもまだ口を付けていないパンの事であって



「今日弁当忘れてー‥」

「これ食え」

「え?あ、でも‥」

「食えねぇのかぁあッ!」


正直に答えた俺は
辻先輩からお弁当を貰いました




凄く見られているのが分かる
隣から痛いぐらいの視線
そんな視線に耐えつつ、お弁当のフタを開けてビックリした

彩り鮮やかなオカズ
ご飯も炊き込みご飯で手の込んだお弁当


ゴクッと唾も出るは、見れば見るほど美味しそうでお腹がグ〜〜と鳴り始める



「い、いただきます‥」


遠慮もあったが、空腹には勝てず‥‥

俺は美味しそうな卵焼きを口に放り込んだ


「うまッ!」


思わず口からそんな言葉が飛び出るほど美味い!
遠慮の言葉はすっかり消えて、バクバクと頬張る



「美味しいです!すっごく美味しいです!」

「お、ぉおッ」


辻先輩に感想を伝え様と隣を見れば


(あれ?なんか‥‥)



先程見た睨みを利かせた顔は一切なくって
怖いと言うより、むしろ‥‥


(優しそうな顔‥)



俺の目が悪くなくて、見間違いなければ
そんな顔をしていた


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