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・14/01/28 自警団詰め所 encounter:ゲルダ/クラリサ

あの日から十日が経った。右腕と右足は順調だけれど、ファニングショットの速度はちょっとばかし衰えていて。けれど、回転式弾倉の拳銃も久々だ。メルガスではリザルグと、ロザリアによく教えてもらってたんだっけ。もう、14年も前の事になるのか。私は12歳で。引き金がとても軽くされたその銃はとても恐ろしかった記憶がある。おもちゃみたいな軽さで、引き金を引けば人が死ぬ。

私がザナークを殺して、さ迷って、殺し続けて、拾われるまで。手が、死を伝えていた。血の温もりを刻み付けられた。それが全部、引き金一つと引き換えに失われる。それが、私の銃との出会い。その後、何度も撃つ必要が無いように、一撃で終わらせる為にイオリさんがイルクセルで作り上げたのが、私の銃、クロだった。

CURO-T01。それが私の相棒だった。

赤禍ツとしても、そして今でも、その重さを背負うためにも。

だから、あれ程頑丈だったあの銃が壊れるとは、思わなくて。ベノムジョーの一撃は、生半可なものではなかった。右腕が歪んで、片足が千切れて、内蔵も幾らか逝っていた。助からない損傷だったのには違い無い。

そして修復が効かなかったのは、私の銃だった。

回転式弾倉拳銃は、使い勝手は悪くはなかった。扱いは手馴れたものであったし、ラクリモーサが脱獄した際にも扱いはした。けれど、相棒が居ないのは少し、淋しいかもしれない。リウさんには渡しておいたけれど、期待は向けないでおこう。あれを戻すのは難しい。
イオリさんがもう一丁作る、とは言っていたけど。それこそとっても昔の話だ。

と、そんな事を思いつつも銃の練習をしてたら銃口の先に人が倒れてて。流石にびっくりしたよ、すかさず薬莢が落ない事、弾丸が入ってない事を確かめたけど。なんか、よく分からない人で。綺麗な娘さんに殺されることを願っていたなんて!私じゃどーにも吊り合いそうにないよ!

なんかすっごく、見守られてる視線も感じちゃったし。

因縁っぽかったけど、人違いっぽくて、なんだろー。後先考えず思わずやっちゃった、らしい。うん、しかたない。

最後に、治安を悪くすりゃ悠長にも浸ってられない、みたいな言葉があって。どこに向けたものかは、分からないけれど。それが例えば。いいや、よそう。

悪の反対は正義で、悪を殺し尽くす事は正義で。それでも殺すって行為は悪で、とても自然な行為。危害を加えるものを永久に退ける。重要な要素は目的だろうか。人と人で殺し合う、憎悪。

サリアさんの言葉をもっと、聞きたかった。

『捕縛して牢に留めるよりも、最期まで剣を握っていてほしかったから』。それは、雲慶さんへの想いだ。そこは、分かっているんだ。


信念の人。


それは、続いているのかな。


ねぇ。




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あきゅろす。
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