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・13/04/10 自警団詰め所 title[考察1]
まとめその1

・再調査
無数の証言と証拠は全て、曖昧のままに保たれていた。今、自警団には二人目の赤禍ツの情報は皆無だ。判決が引き伸ばされ調査期間とされていたが、一年を契機として最終的な調査が成される事になった、とされる。けれど、それも表向きには調査と言っているのみ。
何もせずとも、私は終身刑が確定されている。何か大事とならない様に仕向けているのか分からないが、隠蔽する様にも私の名は今のものとなっている。リストとして別の名で処理され、そして消えるだろうから。監修者はフィリスト=レガリス。私が、赤禍ツだった時に殺し損ね、そして殺害許可を下ろした者の名だった。

・ペティットに居る理由
証拠としての自身があった。あの事件の後、別の街の牢獄に収容されていたが重要参考人の一人として再調査という名目の元に来たまでだ。それ以外に理由は無く。そして調査終了の時期は5月。私としては何一つ意味は無く、久し振りにこの街に来たなぁ、程度の思いだった。この街での牢獄としても、別の街の牢獄としても同じだ。
どのみち、牢獄で生きていく。生かされたからこそ。そこに後悔は無く、それで構いやしなかった。これが償いで、当たり前なのだから。そうして5月には、戻るのだろうから。別の街の牢獄に。

・最初の目的
偶然耳にしたんだ。6月、ジューンブライドだかのお話を、監守がしていて。それを聞いて、この街に来ていて良かったと思えた。そしてより、生きていて良かったとさえ。セシリアが結婚するという言葉。親友が、幸せになる。そんな事があるとは、思いもしなくて。その相手も見てみたいし、何より祝いたい、感謝したい。その言葉だけでも幸せだったけれど。だが、それは赦されない願いだ。祝う事も見る事も感謝する事も、この牢獄で想う事しか赦されなかったのだから。
勢い余って表に出たら、ラクリモーサが脱獄を仕掛けていた。大賑わいで、自警団員が応戦していた。私も加戦したが、全く歯が立たなくて。私の力では及ばなかった、とても悔しくて。そこで思う事が無数にあった。この力の使い途というものを。
どうにか結婚式だけでも見れないかなっていう、目的の為に。たった一日のエゴの為に使えないかな、と。脱獄という手段ではなく、だ。

・今の目的に至るまで
あの時、自警団員二人の想いが見えたんだ。友達を、親友を信じる想いというのをね。暴走した一人を留めて、助けようとしたその想いを。幾らか重なる想いが私の中にはあったんだ。だから、っていう訳ではないんだけれども、どちらかに会ったら話そうと思っていて。ギル君かアイザック君のどちらかに。そうしてギル君がいた。それだけだ。
結局私は卑怯で卑劣だと分かっていた。あの時の延長、釣り針と同じだ。どうにかして、私は抜け出せるかを考えていた。罪を成さずに。その一つとして私は持ち得る情報を開示するとも言った、あの時相手が悩んでいたラクリモーサの事も。私が牢獄に連れ戻してやろうか、とも語った。あの時は"私を買って欲しい"、または"飼って欲しい"とも言ったんだな。我ながら、阿呆だ。私の銃を扱う手、獲物を追う脚、挙動を見逃さない眼、何処までも追跡する鼻。取引の条件。けれど、ギル君は「自警団に協力する立場になりたいのか?」と言ったんだ。もしかしたら、と。
この街を守る為に、私が。ただの利用だとか取引だとかではなく、償いとして。私は本当に馬鹿だ。そういう思いはあったけれども、無視していたから。無理だろうと。けれどその後の神父さまとの面会で私は、街を守る為に尽くしたいとも語った。その想いに偽りは無かったから。
今の目的は、街を守る手助けの為に私の力を使う事。それだけだ。


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