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・11/05/17 川 encounter:セシリア
私には幸せな時間が何れ程あっただろうか。それが短いとしても、人と関わるこの気持ちは何一つ他人と変わりはしない。

これは神が私に与えた試練、なんて安っぽい正当化の理由は私自身には合わないだろう。

何故こんな痛みを抱えなければならなかったのか。何故私なのか。そんな問いはもう何度繰り返したかすら分からない。
まだそれらの疑問は答えを産まないものだろう事は知っていて、それでいて自身が既に抱いている事も知っている。

私はとても卑怯なのだと、そんな事はずっと知っていた。ただのエゴで殺める。そうして次に殺すのは自分自身であると。

なのに、それを私は託し、そしてセシリアは受け入れてくれた。私は何れ程卑怯で卑劣なのだろうか。
それでも嬉しかった。真に望んでいた事だから。

どんなに想っても、どんなに仲良くなっても、どんなに愛してもそれらは私が赤き花へと還した。だからせめて殺される時は、想った人に殺されたい。

友に、私の死を。

私は私の呪いの原因を。

たった二つの生きる目的。アカマガツを殺す事と、呪いの意味を知る事。

幾らも命を踏みにじった。そんな私の出来る事。やらねばならない事だから。

ただ利用するのか、違う意味合いが私の心の中核に存在するのかも曖昧だ。心という言葉を使って私の想いを自らが揺るがしているだけなのかもしれない。本当は利用するだけ利用する。錆びた歯車を動かす為だけの、壊れた歯車を動かす為だけのツールに過ぎないのかもしれない。いいや、動かす、ではない。正確には、この世界という名の機械から取り外す為の、だ。

それを成すのは、誰でも良いのだろう、誰でも出来るのだろう。だからこそ受け止めてくれた事が嬉しいんだ。
確実な針。まだ撒く必要性はあるのか、分からない。十分確実なものだ。だがもっと獰猛な狩人は居るだろう。貪欲に、死を望むか。十分に壊れているな、これでは。

けれど、それで良い。私は確定する死を佇みながらも積み重ねられた亡骸の上の景色から、答えを見付け出せれば良い。まだ真実は、記憶の中で深い眠りに堕ちている。その記憶を眠りから呼び起こすのがカッコいい王子様だとは到底望めないけれど、名が終わるまでには見付け出してみるよ。まだ何一つ手掛かりは見付からないけれど。最近、一つ違和感を覚えるものがあっただけ。このペースで終わる気がしないな。

でも、今日は本当に、不安に駆られず眠れそうだ。


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あきゅろす。
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