・11/04/27 貸家 title[花の色]
祝福、加護。彼女は、マルスリーヌはそう言った。
花は、緋色のみではない、と。
目を向けもしていなかった。辺りはあまりにも鮮やかなのに。全てを私は亡骸に手向けた赤を咲かせようとしていた。あの赤き花畑の様に。生まれ育った、あの春風の心地好いあの丘の様に。
それにしか、価値を見出だしてはこなかった。それは呪いか、或いは。
弱いのは私なのだろうか。だから咲かせてしまうのだろうか。
バケモノ、か。言われて気分の良い言葉ではないけれど、今の私にはお似合いなんだろうな。
白に、ピンクに、オレンジ。私に全く関係の無い色が私にも見えている。意味の無いものとしか思っていなかった、あの時とは違う。
だから私は、本当の私の色を探す為に。
出来ればあの花の様に白くあればいいな。
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