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・11/04/07 地下酒場 encounter:スパティーカ
仕事として人を殺すのは、私の師を殺してから以来一度も無かった。

あの時は楽しかった。人を殺す罪悪感はあったものの、指名手配の強盗犯を非公式に殺し、その奪った物を横取りし闇に葬る盗賊団の長であった師の私に与えた居場所は、暖かいものだった。ただ一人の理解者だった。そして、私の殺しを正当化する為に幾つもの理由を張り付けては私を保とうとしてくれた人だった。

だから今の私がある事は十分に知っていた。あの時あの人に会わなければ、私は自らを殺していただろうから。

頼まれて殺す事は、あれ以来だ。誰かの為の殺しとして正当化する。私の殺しを。

誰かの為になれば、その殺すべき人が重い罪を持っていたら。殺した罪は無くなっちゃうのかな。賞金稼ぎとして罪人を狩る人達みたいに。

それなら世界はあまりにも単調な仕組みでしかない。そんなハリボテではない事くらい知っている。

けれど、少しでも殺しを正当化出来る理由があるなら。

私の色の物語。罪の、汚れくすんだ赤色の物語を亡骸の上に紡いでいくしかない。


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