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■それぞれの、形
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 会社に入って半年。同期の久実が、企画部1課の斉藤さんと付き合い始めた。

 相手も海外出張の多い人だから、いつも一緒にいるわけじゃないけど、やっぱり仕事が終わって、久実とご飯食べたりしてた時間とかを、1人で過ごすこともあるわけで。

 偶然、仕事帰りに会った高校の時の友人に、そのことを話すと、

「合コンするから、おいでよー。」

と言われ、後日、本当に声がかかった。

 彼女、灰原理央は、昔から顔が広い。誰とでも仲良くなれるし、友達も多かった。

「あたし、相手側の男の人、全員知り合いなのよねー。だから、今回、完全幹事に徹するから。」

 理央はそう言って、何かと話題を私と他の女の子2人に振ってくれる。

 相手の男の人4人は、職業もばらばら。会社員もいれば、フリーターもいる。

 フリーターはないだろう・・・と思ってた。確かに、4人の中では一番男前なんだけど、ちゃんと仕事してない感が、フリーターって響きにある。

 でも、話してみると意外に面白くて、自分にはない考え方には、興味がある。

 この人いいなー、っていうのではない。この考え方、おもしろいなー、だけど。

 ただ、いろいろ話し込んでたのを見た、おせっかいな理央が、私と、そのフリーター君の仲を取り持とうと頑張りだして、結局、連絡先を交換することに。

 メールのやりとりから(ま、9割9分、向こうから先に送ってくるんだけど)、とりあえず付き合うようになったのはいいが、基本、全く時間が合わない。

 急に会おうを言われても、残業入ってたり、じゃあ何日後に、と言われても、その日から海外出張だったりで。

 こっちから気を使って、「今度の日曜、休みなんだけど」と言ったら、向こうはバイトが入ってたり。

 そんな繰り返しを続けてるうちに、

「俺と会うのと、仕事と、どっちが大事なんだよ。」
って。

 そりゃー、仕事でしょ。

 で、THE END。

 だって、仕事を投げてまで、一緒に居たいという相手でもなかったし。

 正直、私から仕事をとったら、何も残らない気がするし。

 私だって、たまに聞く人の恋愛話をいいなーって思うことはある。

 でも、どうしても恋人が欲しいってわけでもないし、逆に1人のほうが楽かも・・・って思うときがある。

 映画だって、自分の都合のいい時に、1人で好きなもの見られるし、食べる物だって、その日の、自分の気分しだいで好きなもの食べれるし。・・・まあ、出張時以外は外食しないけど。


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