■それぞれの、形 3 会社に入って半年。同期の久実が、企画部1課の斉藤さんと付き合い始めた。 相手も海外出張の多い人だから、いつも一緒にいるわけじゃないけど、やっぱり仕事が終わって、久実とご飯食べたりしてた時間とかを、1人で過ごすこともあるわけで。 偶然、仕事帰りに会った高校の時の友人に、そのことを話すと、 「合コンするから、おいでよー。」 と言われ、後日、本当に声がかかった。 彼女、灰原理央は、昔から顔が広い。誰とでも仲良くなれるし、友達も多かった。 「あたし、相手側の男の人、全員知り合いなのよねー。だから、今回、完全幹事に徹するから。」 理央はそう言って、何かと話題を私と他の女の子2人に振ってくれる。 相手の男の人4人は、職業もばらばら。会社員もいれば、フリーターもいる。 フリーターはないだろう・・・と思ってた。確かに、4人の中では一番男前なんだけど、ちゃんと仕事してない感が、フリーターって響きにある。 でも、話してみると意外に面白くて、自分にはない考え方には、興味がある。 この人いいなー、っていうのではない。この考え方、おもしろいなー、だけど。 ただ、いろいろ話し込んでたのを見た、おせっかいな理央が、私と、そのフリーター君の仲を取り持とうと頑張りだして、結局、連絡先を交換することに。 メールのやりとりから(ま、9割9分、向こうから先に送ってくるんだけど)、とりあえず付き合うようになったのはいいが、基本、全く時間が合わない。 急に会おうを言われても、残業入ってたり、じゃあ何日後に、と言われても、その日から海外出張だったりで。 こっちから気を使って、「今度の日曜、休みなんだけど」と言ったら、向こうはバイトが入ってたり。 そんな繰り返しを続けてるうちに、 「俺と会うのと、仕事と、どっちが大事なんだよ。」 って。 そりゃー、仕事でしょ。 で、THE END。 だって、仕事を投げてまで、一緒に居たいという相手でもなかったし。 正直、私から仕事をとったら、何も残らない気がするし。 私だって、たまに聞く人の恋愛話をいいなーって思うことはある。 でも、どうしても恋人が欲しいってわけでもないし、逆に1人のほうが楽かも・・・って思うときがある。 映画だって、自分の都合のいい時に、1人で好きなもの見られるし、食べる物だって、その日の、自分の気分しだいで好きなもの食べれるし。・・・まあ、出張時以外は外食しないけど。 [*前へ][次へ#] [戻る] |