『魔王に就職』 魔王と接触(※セレア視点)《3》 そこまではよかった。 人間魔王のアズマ殿に、好感を抱いただけで済んでいた。 問題は、あの例の卵を約束通り魔王アズマ殿に渡して後である。 「触ってみても、いい……?」 魔王アズマ殿が、とんでもないことを言い出したのである。驚いて、一瞬固まってしまったが、ふと、おそらく卵に触るという意味を解っていないのだろうと思い直し、それならばもうすでに渡した卵、拒否するのも悪い気がして、自由に触らせることにした。 ……それが、間違いだった。 例え卵に触られようと、相手は男、ましてやそういう意味で触るわけではない。感じるはずがない、と思っていた。 しかし、……魔王アズマ殿の触れ方は、私の下半身に、まともに……キた。 ……そっと、優しく……、やわやわと何度も、ゆっくり時間をかけて触る。その慈愛に満ちた聖母のような表情は、今していることとのギャップがありすぎて、背徳な興奮をかきたてる。 美しく色気のある竜人族の女のどんなにいやらしい触り方よりも、余程、私を欲情させる効果があるように思えた。 このまま見続けていてはマズイ、と思ったときだった。 魔王アズマ殿は、こともあろうか、触るだけでは飽き足らず、卵に頬を擦りつけ出した。 柔らかく目を閉じたその顔には、頬を寄せたその卵を、充分に愛おしむ気持ちが滲み出ている。 あんな顔で、私のモノに頬付けられたら…… 「……っ、」 ……あの時は、何とか咳き込んでごまかし、必死の思いで反応しかけた下半身を鎮めた。 だがあれ以来、ひとりになると思い出してしまう。魔王アズマ殿の、……手を。……あの顔を。 「……ぅっ、」 そして、思い出しながら、どうしてもまた邪(よこしま)な気持ちになるのだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |