月三物語 ページ6 「涼、月島はサイコキネシスの能力を持っている。月島、涼が≪跳ぶ≫と言っているのは、空間の移動だ。テレポートとも云うな」 赤月が説明している間、涼はソワソワと落ち着きなく歩き回る。 「ねえ? 章吾〜喉が渇いた。何か飲みに行こうよ〜浩司も行こうよ! ね?」 小首を傾げて、行こ〜よと言う涼に、俺の鼓動は速く鳴りっぱなしだ。 『マジやばい! 俺は男なんか趣味じゃないのに。これじゃ、アイツと同じじゃないか!』 俺が倒れるまで一緒だった青木の顔が、浮かんで来る。 そしたら何故か、赤月が嫌な顔をして言った。 「月島……お前、アイツと知り合いなのか?」 「は? アイツって?」 赤月は溜め息を付き、涼と俺を学食へと誘った。 *―*―* 学食に着き、飲み物を選んでいた俺達に周囲からの視線が飛び交う。 「赤月、何で皆こっちをジロジロ見るんだ?」 赤月は「いつもの事さ」と言いながら空いてる場所を探す。 涼は、知り合いを見付ける度、挨拶を為まくる。 だけど、話し掛けられた方が、真っ赤になるのは気が付かないみたいだ。 やっと空いてる場所を見付けて座った時、後ろから聞き覚えのある声がした。 「あれ? 月島大丈夫か?」 青木だ……俺は、嫌な予感がして奴より先に話し出した。 「お前、倒れた俺を置いて、何処に行ってたんだ?」 青木は別段、済まなそうな顔もしないでシャラッと言った。 「だってよ〜保健のセンセが大丈夫だって言うからさ〜寝かして置いたんじゃないか」 「ワリ〜な」とか言っているが、ちっとも悪いと思ってないのが、コイツの良い所でもあり、悪い所でもある。 「それより、紹介してくれよ〜まあ、有名だから名前位は、知ってるけどな!」 『有名? 知ってるって?』 益々心配になってきた、俺だった。 [前頁][次頁] [戻る] |