僕が探偵になった訳
その三
「はあ? 探偵だって――? おれは善良な、いち高校生なんだ。金なんか無いぞ! 」
と言うなり僕は駆け出した。
しばらくして、もう大丈夫と思い足を緩めたら、後ろから荒い息遣いが聴こえてきた。
「はぁ……はぁ……君、足が……速い……ね……」
自慢じゃないが僕の逃げ足に、今まで付いて来れた奴はいなかった。
かなり落ち込んだ僕は、『ヤッパ、今日は疫日だ。早く家に帰って寝よ』と思い男に言った。
「分かった……話しだけ聞いてやるから、早く言えよ!」
半ばヤケクソになって通りに座り込む。
「まあ、こんな所で座り話もなんだから、私の事務所に来なさい。君、名前は?」
「藤原 始だ。ただの高校3年生だよ」
「藤原? 君、日本人なのか? てっきり……」
男が疑問に思うのは分かる。
なにしろ髪は天然の金髪で、瞳の色はマリンブルー。
「ジッチャンがイギリス人なんだ……」
「それは好都合……じゃなくて、私は赤月探偵事務所の所長の赤月章吾だよ。よろしく始くん」
そうして僕は探偵事務所へと行くことになったんだ。
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