僕の瞳に映るあなた
5
涼が哀しげな顔で僕を見つめている。ほら、やっぱり僕が好きなんだろ?
「じゃ、小夜明日な……」
「うん。竜、明日ね〜」
小夜は手を振り何度も振り返りながら帰って行った。
「竜、送って行かなくていいの?駄目じゃない女の子に送って貰うなんて……」
なんで心にもない事を言うんだろう。僕の愛しい人は……
「別に……僕の家の方が近いし。涼には関係ない……」
その言葉に涼は目に涙を溜め、泣かない様に唇を噛み締めてる。昔の……幼かった頃の様に。
「涼、ゴメン……」
肩を抱き家へ入る。お婆様に見付からない様に涼の部屋へと。
「涼? 泣かないで。こっちを向いてよ」
涙に濡れた顔を上げた涼はとても綺麗で……僕は思いが溢れて、止まらなかった。
「いやっ! 竜、止めて! 」
泣き叫び、止めてくれと云う涼を無理矢理自分のものにした。
時が……止まる。
再び……動き出した時。
僕らは……
禁忌を冒した……
罪人となった。
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