僕の瞳に映るあなた
4
人は……哀しみで死ねるのだろうか?
兎は一羽だけで居たら生きてられない……では、わたしは?
わたしはひとりで生きていられる? 竜のいないこの世界で―――
∽∽∽∽∽∽∽∽∽
少しだけ開けてあった窓から朝の爽やかな光が射して、いつもより早く目が覚めた私は散歩をしようと部屋を出た。
「う〜〜ん、いい天気! 」
庭に立ち大きく伸びをして声に出すと。
「そうだな――」
って、返事が返った。
『――竜――? 』
そこには芝生に寝転び太陽に手をかざしている竜がいた。
「おはよう!早いのね竜 」
ああ……声は震えてないかな?私・・・自然に話せている?
「誰かさんが起こしてくれないお陰で最近、遅刻ばっかりしてるからな…… 」
私の方を見ようともしない竜。でも、話はしてくれるんだ。
それでもいいけど……??
「もしかして・・・竜……寝てないの? 」
「ああ……」
「駄目だよ。ちゃんと寝ないと体壊しちゃう……」
「涼……お願いがあるんだ。少し寝たら起こして……」
そう言ったまま竜は私の膝で寝てしまい竜の髪を撫でる私。
穏やかな朝の始まり・・・
人はひとりで生きていけるかも知れない……でも、わたしは……
わたしは――
死んでしまうかも知れない……
竜がいなければ・・・・
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