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楽園の紛糾
いつも君のそばに4





 出航の時間が迫っていた。
 空港から次々と離陸してゆく哨戒艦を見送りながら、遮那王は旅立ちの時を待っていた。
 搭乗ゲート前に現れた武蔵坊と一条は、次郎の姿を見つけた。
「見送りか?」
 一条が立ち止まってニヤリと笑う。武蔵坊は先にゲートへと向かった。
「やっと年貢の収め時が来たな」
 嘲笑めいた表情で応える次郎の言葉に、一条の眉間がピクリと反応する。
「本部は正しい選択をしたからな。ジェイルはHEAVEN勢力圏の前線や。これで心置きなく戦を楽しめる。おまえらみたいに平和ボケしたがる連中とは、これ以上つき合いきれん」
「――んだと」
 険悪な視線を交えて互いに威嚇していると、警備をかき分けて現れたひとりの兵が、ゲートに向かって走り抜けていった。仮にも犯罪者の護送であるため、一般の兵の出入りは強く規制されている。
 警備の引きとめる手を逃れて現れた者は、ゲートを抜けてエアブリッヂへと踏み込む武蔵坊に向かって、真っすぐに走って行った。
「弁慶っ!」
「――蘭丸?」
 自分を呼ぶその声に惹かれた武蔵坊が、そこにやって来た森の存在を知った。
「こらっ!待てっ!」
 引きとめようとする警備兵を、追いかけて引き止めた次郎が諌めた。
「いい。好きにさせてやれ」
「ですが、少佐」
「大丈夫だ。いいから引け」
 次郎の命令に釈然としないまま、警備兵は元の隊列に戻っていく。
「――ええカッコしいは、身体に毒やで」
 一条の毒舌に耐えながら、次郎は遠くからふたりを見守った。



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