book 様子 「さぁつきい!」 「でっかい声出すな暑苦しい。」 「あいたっ」 8月のある日。今日僕は皐月と一緒に遊んでいる。 遠くにいる皐月を発見して大きな声で叫ぶとうるさいと言われ頭を叩かれた。 「しっかし今日は暑いねー」 「だな。冬が恋しいよ」 人はよく夏に入ると「早く冬が来て欲しい」と言うが、実際に冬が来ると「寒い!早く夏にならんかなー!」とも言う。 地球の大気を動かしている神様にとったら鬱陶しいことこの上ないな。 「夕陽どっかいきたいとこある?」 「いや…皐月は?」 「金がない」 「ああ…」 結局近くの公園で遊ぶことにした。 公園にあったブランコをギコギコ揺らしながらコンビニで買ったアイスを頬張る。 「もう8月かー、案外早いな」 「だねー」 適当に相槌を打ちながら答える。 本当に暑い。 もう暑い以外の何者でもないね。 「あ、ニャンコだ」 ふと公園にやってきた三毛猫を見てそう呟くと、隣にいた皐月がものすごい様子で振り向いてきた。 「猫?!」 「あ、うん…三毛猫…」 今まで見たことないこわばった表情に戸惑いながらもそう告げる。 するとほっとしたかのように息を吐き「三毛か…」と言って胸を撫で下ろしていた。 「どったの?皐月猫ダメだっけ?」 「いや…最近苦手になった」 そう言って笑った皐月の顔はとても悲しそうで、何かに耐えているかのようだった。 → [*前へ][次へ#] [戻る] |