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03



「へぇー。それじゃぁ、イーヴリンはそのストラナー大陸から来たんだ」


街へと向かう道中。


有利とイーヴリンは談笑しながら歩を進めていた。


「はい。
私、大陸の外に出るのは今回が初めてのことでして、はしゃいでしまったんです・・・」


口元に手を当ててクスクス笑うイーヴリン。


その姿に多少頬を染めながら有利が口を開いた。


「そうかぁ。
まぁ、確かに初めて行く所って珍しいものばかりだから、はしゃいじゃうよな」


実際俺もよくあるし、と屈託なく笑う姿に一瞬義兄の姿が重なり、イーヴリンは大きく目を見開いた。


急に口を閉ざした彼女を不思議そうに見つめる有利。


「どったの?」


その声にはっとして、自分より背の高い有利を見上げる。


濁りのない漆黒の目とあい、イーヴリンは笑みを浮かべた。


「ごめんなさい。
・・・一瞬、ユーリがお兄様と重なって」


「えっ!?
イーヴリンの兄貴って俺に似てるの!?」


「い、いえ。そうではないのです。
ただ・・・」


そうだ。


アキラと有利は似ていない。


髪の色も
目の色も
顔のつくりも全く違う。


けれど…


「お兄様とユーリの雰囲気が似ていらしたから」


昔の・・・
出会ったばかりの頃のアキラと有利の雰囲気が似ている気がしたのである。


「へぇ〜。
イーヴリンの兄貴と俺がねぇ。」


つまり、自分のように平凡なオーラを纏っているということか…


と一瞬考えて、有利は頭を振った。


有利から見ても、イーヴリンは良いとこのお嬢様だろう。


着ているものも
一つ一つの動作も
話し方からにしても


彼女は一般人に見えない。


そんなイーヴリンの兄。


どう考えても、自分みたいに平凡なはずがない。


「イーヴリンの兄貴ってさ。イーヴリンと似てるの?」


だったら、彼女の兄も目の前にいるこの少女のように穏やかな雰囲気を醸し出しているのだろうか。


「お兄様、ですか?」


有利の言葉にイーヴリンは己の義兄の顔を思い浮かべた。





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