04
「…そう、ですね。
目の色と髪の色は私と同じですが、あまり似てないような気がします」
脳裏に浮かんだのは、優しげに微笑むアキラの姿。
苦笑を浮かべながら、イーヴリンはそう言った。
「それに、お兄様とは血の繋がりはありませんし」
「え!? あ・・・その、ごめん」
予想していなかったその言葉に驚愕し、有利は咄嗟に謝罪の言葉を口にする。
イーヴリンはそんな有利に微笑み口を開いた。
「ユーリが謝る必要などありませんよ。
血のつながりなどなくても、お兄様は、私の大切な方ですから。」
にっこりと笑うイーヴリン。
その姿に、安心して有利もつられて笑みを浮かべた。
「そこの、兄ちゃんと譲ちゃん。ちょっといいか?」
そんな和やかな雰囲気を出している二人に声をかける男が数名。
物陰から飛び出してきたその男たちは、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら、二人を見る。
そんな男たちに、嫌な予感がしたのだろう。
有利が咄嗟に、イーヴリンをかばうように前に出ると恐る恐る口を開いた。
「・・・な、何?」
「お前らいい所の出だろ?有り金全部置いてったら、命だけは助けてやるぜ?」
口元に浮かべた笑みを濃くして、手荷物ナイフをちらつかせる。
周りの男たちも、その様子を楽しそうに眺めていた。
「お、俺達は庶民だ。お金なんて持ってない!!」
実際、スタツアしてきたばかりの有利はこの世界のお金を一銭も持っていない。
まぁ、もし持っていたとしても渡したりしないだろうが。
「うそつくんじゃねぇよ。後ろの譲ちゃんは間違いなく育ちがよさそうじゃねぇか」
「そうそ。それにさ」
ニッと口端を上げて、先ほどまで話していた男の後ろにいる男が口を開く。
「双黒をもつやつが、庶民のはずねぇだろうが」
「・・・あ」
男のその言葉に、有利ははっとして自分の頭を抱えた。
あまりに、イーヴリンが普通に接していたので、そのことを忘れていた。
「・・・?双黒には何か意味がおありなのですか?」
「あんた、そんなことも知らねぇのか?」
不思議そうにそう尋ねるイーヴリンに、男たちと有利が驚愕の表情を浮かべる。
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