攘夷ばっかり
白夜叉捕われました前編
※流血グロいの苦手な方ご注意下さい!
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暗闇に包まれた森に烏の鳴き声が響く。日は疾うに落ちた。風に揺られ擦れ合う葉の音が不気味な雰囲気を醸し出す。
木々に覆われひっそりと存在する洞窟から微かに呻き声が聞こえた。
「……無様だな」
「………っ…」
身体中に巻きついた木の枝が締め付けを強くするのを感じ、顔をしかめる。どうやらこの女の意思で枝を動かせるらしい。
無意味なことと理解していながら、何とか逃れようともがく。だがほんの僅かでも身動ぎすれば容赦なく締め上げてくる。どうにもならないもどかしさに舌打ちをした。
「……かの白夜叉が仲間を庇って捕らわれるとは」
背中を撫で上げられるような声色に鳥肌が立つ。
暗闇ではっきりとは見えないが、爬虫類のような顔だ。不気味なほど大きい口を三日月形に吊り上げて笑っている。立派な牙がこちらを向いてぎらつく。
「珍しいこともあったものよ」
「……!……ぐ…っ」
女の手が頬に触れる。ねっとりとして気持ち悪い。
一層強くなった締め付けに骨が軋む。呼吸も苦しくなってきた。何とか紛らわそうと両目を瞑り歯を食いしばる。
「……さっさと口を開けばいいものを…」
女の顔は未だ笑みを浮かべたままだが、沈黙を貫く銀時に些か苛立ちを感じ始めたようだ。語尾が震えている。
霞む視界でその様子を眺めていた銀時が口角を上げた。
「……何が可笑しい…貴様等の本拠地はどこだ!!いい加減吐け!!」
嘲笑を浮かべる銀時にさらに腹を立てたのか、女は銀時の顎を乱暴に掴む。
一度短い息を吐いた後、皮肉をたっぷり込めて銀時が呟いた。
「…カ…ルシウム…足りねーんじゃ…ねーの、…クソババア」
最後まで聞く前に、血相を変えた女は銀時の両肩を掴み牙を出す。
「生意気な小僧が……!!!!」
剥き出した牙をそのまま銀時の右肩めがけて突き刺した。
「………っ…!…や、めろ…!!」
牙が深々と入り込んだ場所から生まれるのは灼熱のような激痛。先ほどまでの比ではない。無意識に足掻くがそれを妨げるようにじわじわと締め上げられる。
だが傷が熱いのはどうやら他にも理由があるらしい。突き刺された牙から、何かが体内に流し込まれている。
「……ぐ……ぁ…っ!!」
耐えきれずに漏れる呻き声に気を良くした女はにやりと笑みを浮かべると、傷を抉るように牙を引き抜いた。
血に塗れた自分の口の周りを長い舌で舐め上げながら艶かしく囁く。
「……たっぷりと毒を注ぎ込んでやったわ…」
言われなくたってわかってらァ、と悪態をつこうとしたが、既に意識が朦朧とし始めた。
傷口から広がる熱が全身に回り、体が燃え上がりそうだ。力も入らない。不細工な顔を睨んでやろうと視線を上げようとしても、瞼が重すぎる。巻き付いている枝が無ければ疾っくに倒れているだろう。
ぐったりと荒い呼吸を繰り返す銀時を横目で見ながら、すっかり機嫌を良くした女が呟く。
「……どこまで意地を張るのか見せてもらおうかね」
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タイトルセンスほしい\(^O^)/w
テストの鬱憤を坂田で晴らしたよ!w
ごめん坂田でもとても楽しいんだぴえーんw
2009.5.29
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