誰かに聞いた怖い話
・・・三毛猫6
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『そんな彼にも、同情すべき点はあるんだ』



『同情…ですか、それはいったい…』



『君達もプロだから、もう調べはついてるかも知れないが…今は孤独な彼も、昔から一人暮らしだった訳じゃあ無いんだよ…彼にも愛する妻が居て、世間並の暮らしをしていたんだよ、あの土地で…』



『…』



『パジャマのボタンを掛け違えた様に、彼の運命が狂い始めたのは…そう、今から35年くらい前の、暑い夏の日の事だったそうだよ』



『暑い…夏の日ですか、その日に何が?』

男の話に仕事柄興味を引かれたのだろうか、全然予期していなかった話の展開に、マスコミ関係の男は興味津々と言った感じで身を乗り出していた



『そう…暑い夏の日の事です…』





朝からぎらぎらと太陽の陽射しが照り付け、その癖動かなくても背中や脇の下に汗が流れる様な、妙に湿度が高くうだる様に蒸し暑いある夏の日の午後、男は家の前に広がる畑へと出ていた

その当時は、この辺も開発されてはおらず、手付かずの自然…と云う訳では無いけれど、畑の広がる静かな丘陵地帯であった

その男の生まれた家は、この辺りでは一般的な規模の農地を持つ、根っからの農家だったのだ

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あきゅろす。
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